優しい雨＠管理人作品第９弾

　さて、昨日、雨の中、桜公園の蝦夷山桜を眺めてまいりました。 しとしと雨が降り、若葉が出ている咲きかけの桜からは、 早速桜餅の匂いがいたしました(笑)。
　そんなわけで、散文めいた小品をお茶濁しに書き流してみました。 よろしければどうぞ。

※　管理人の作品は全て尚陽前提でございます。

• 登場人物　　陽子
• 作品傾向　　ほのぼの（散文ちっくです）
• 文字数　　304文字

優しい雨

　雨の音がした。微かな音を立てて降る、優しい雨。気づけば、春の匂いが立ちこめている。濡れた土と、綻びた花の香り。陽子はそっと目を閉じた。耳と肌に、春を感じる。そのまま、窓の外に手を伸ばす。雨が、握手を求めているよう──。
　目を開けて確かめる。細い雨の雫の向こうに、開きかけた桜の花が見えた。もう、我慢できない。庭院へと駈け出して、陽子は桜の幹に抱きついた。
　温かな春の雨を、桜とともに浴びる。恵みの雨が齎す喜びを、桜とともに感じる。笑みを湛えて見上げると、桜も笑っている。陽子は、いつまでもこうしていたい、と本気で思ったのだった。

　その後、ずぶ濡れの陽子が、心配性の友たちにこっぴどく叱られたことは、言うまでもない。

2010.05.13.

後書き

　子供だったらできるかな〜。でも、雨降りに、傘なしで走れないかな〜(笑)。 鈴と祥瓊に叱られて神妙にしているずぶ濡れ陽子主上を想像すると、可笑しいです。 お粗末でございました。

2010.05.13.　速世未生　記

雨が上がると　由旬さま

一気に春めきますよね。それが待ちきれないで雨の中走り出す陽子が可愛い。 桜を愛しい人に変換して読むと、陽子の待ちわびる気持ちがいっそう伝わってきました。
　春の匂い、雨の音、五感をくすぐられました〜

こんな雨なら濡れてみたい　翠玉さま

　雨に濡れるというより桜の香りを浴びているようで、陽子さんには似合いますｖ
　小雨でも皆がきっちりと傘を差すのは日本人くらいなものらしいので、有りだと思います。 でも、貴人が雨に濡れる酔狂をするかは疑問ですが。。。 しかも自分で傘を差しても祥瓊に怒られそうですよね。

北国の春？！　空さま

　未生さまがこんな文章をお書きになれるほど 北の国に春が満ち溢れたのでしょうか？　 暖かくなったのでしょうね〜
　陽子さんを蓬莱のどの時代の人にするかは書き手のお好みと思われますが、 実は最近の若い人、雨でも傘ささないんですよね〜。 ヨーロッパのほうでも（こちらは老若男女）傘はあまり差さないという話を きいたことがあります。
　こちらの陽子さんは、みんなが雨降りには傘をさす普通の日本の風景で育ったんだろうな。 つまり、すごくうれしいことがこれから起こるので、 傘をさすなんて言うことはどうでもよくなってしまった陽子さんですよね。 （空はいつも書いていることがくどいですよね〜悪気はないんですが…）
　うれしそうな陽子さんの顔が目に浮かびます。

優しい雨　瑠璃さま

　春のけぶるような雨の中に、翻る鮮やかな赤い髪が目に浮かびます。
　…祥瓊には怒られるだろうなあ(笑)。

ご感想御礼　未生（管理人）

由旬さん＞
　「桜を愛しい人に変換」──おわ、（珍しく）そこまで考えませんでした！　 ちょっと照れます〜。
　由旬さんの五感をくすぐることができて嬉しく思います♪

翠玉さん＞
　「桜の香りを浴びている」──素敵な表現ですね〜。
　はい、わざわざ雨の中に桜を見に行くこと自体、祥瓊は怒りそうな気がいたします。

空さん＞
　実は、ここ数日、北の国の最高気温はふたケタになるやならずの状態でして…… 多分に願望が入っております(苦笑)。
　陽子主上のうれしそうな顔を想像してくださってありがとうございます。

瑠璃さん＞
　そのご感想で雨の中に佇む素敵な陽子主上を想像してしまいました(笑)。
　はい、きっと祥瓊は大層ご立腹だと思います〜。

雨にぬれていても・・・　みるくうさぎさま

　きっと護衛の人たちは、桜の木の下にいる陽子をそっとしてあげたくて 近付けないでいたのでは？　 雨に濡れてしまう陽子を心配して祥瓊を呼びにいったのでしょう。 ずぶ濡れになる前に来なかった祥瓊が悪い（笑）
　ちなみに私は若くないけど、傘をあまり差しません。 ほとんどの移動が車なのと、昔住んでいたところが雪は降るけど 雨はあまり降らない場所だったりしたので。 でも、一番の理由は持って行くと帰りに忘れてきてしまうからです（爆）

雨の日には外に出ない（爆）　未生（管理人）

　なんて言ったら真っ当な人々に叱られそうですね〜。でもそれが私の日常でございます。 なので、雨の日に外に出ると珍しい発見をすることが多いのかもしれません。
　拙作の背景を想像してくださってありがとうございました〜。 楽しませていただきましたよ。