緋桜と春風と@管理人作品第11弾
2010/05/22(Sat) 08:52 No.907
今朝6時のアメダスは9.8℃。まだひとケタですか〜!
最高気温が20℃を超える日が数日続いた後の15℃は寒いです〜。
けれど、今日の予想最高気温は21℃。よい天気です。今日は過ごしやすいかな。
足踏みしている桜前線が北の国の北端に到着するのはいつでしょうか……。
管理人、ようやく作品数がふたケタになりました。
まあ……連作の一編を出すことを躊躇っていたからなのですが。
我慢できなくなったので出してしまいます。
管理人特権ということでお許しくださいませ!
※ 管理人の作品は全て尚陽前提でございます。
- 登場人物 祥瓊・利広・陽子
- 作品傾向 しっとり(尚隆登遐後末声及び利陽注意!)
- 文字数 619文字
緋桜と春風と
2010/05/22(Sat) 08:56 No.908
もてなしの酒肴を持って庭院に戻った祥瓊は、目に飛びこんだ情景に瞠目した。
危うく手に持った盆を取り落としそうになり、なんとか踏み止まる。そんな祥瓊を面白そうに眺める風来坊の太子は、唇の前に人差し指を立てて片目を瞑った。そして、傍らの女王を愛おしげに見つめる。桜の幹に背をつけた宮の主は、太子の肩に頭を凭せ掛けたまま眠っていた。その、あまりにも無防備な寝顔──。
ああ、陽子は、とうとうこの方を受け入れたのだ──。
祥瓊は、込み上げてくる感慨を抑えることができなかった。頬を伝う温かなものを感じる。それを、気儘な客人の前に曝け出すことも、今は恥じる気にはならなかった。
祥瓊はそのまま回廊に立ち尽くす。太子は優しい笑みを返した。そういえば、この方はどんな扱いを受けても笑みを絶やすことがなかった、と思い返す。
ある日ひょっこり現れた風の御仁は、伴侶を喪った女王を何年も何年も訪い続けた。誰が何を言おうとも頓着することなく、物想う女王に旅の土産話と笑みを送り続けた。
もしかして、傷心の女王を想う心は、この方も同じだったのかもしれない。
零れた涙を拭うことなく、祥瓊は庭院に降りた。主を起こさぬようにそっと盆を置く。そうして祥瓊は深く頭を下げ、静かに退出した。
暖かな風が優しく桜を散らす。それは、眠れる緋桜をも目覚めさせるのだろう。夢から現に戻るその刹那を見る特権は、積年の想いを果たした春風に譲ることにしよう。祥瓊は風に揺れる桜を見上げながら唇を緩めた。
2010.05.22.
後書き
2010/05/22(Sat) 09:01 No.909
昨年出した小品「桜と風と」@「夢幻夜想」(末声別館)連作「来訪」の続編になります。
もっと言うと、短編「桜語」及び「桜人」の後の祥瓊視点の小品でございます。
本編を知らずとも、雰囲気をお楽しみいただけると嬉しく思います。
2010.05.22. 速世未生 記
Re: やっとふたケタ(笑) けろこさま
2010/05/22(Sat) 19:37 No.910
大阪はとうとう真夏日を記録しましたよ。
室内ではタンクトップ1枚で過ごしています〜^^
祥瓊もやっと利広を受け入れたのですね。
主を想い過ぎるあまり、
主と同じく過去に囚われて一歩も前に進んでいなかったことに祥瓊はやっと気付いたのでしょう。
でも、だからと言って他の近従達にそれを教えるほど親切じゃないだろうな(笑)
Re: やっとふたケタ(笑) griffonさま
2010/05/23(Sun) 00:24 No.916
ずっと以前に読んだマンガの中に、想いを寄せていた相手には恋人が居て、
その恋人が亡くなってしまった。
主人公の周りは、「チャンスじゃないか、そのコの傷を埋めてあげれば良い」と言われたとき、
その主人公の言った台詞をちょっと思い出しました。
「確かに、傷ついた彼女に取り入ることは出来るかもしれない。
でもその傷を埋めてやって彼女が立ち直った時、
心の傷跡に挟まったカサブタはどうなると思う?
カサブタは傷が治ればきっと邪魔になるだけだ。
治った後は剥がれ落ちて忘れ去られるのがカサブタの役目だろ」
と言うようなニュアンスの台詞なんですけどね(^_^;)
利広はどうするんだろう。陽子はどうするんだろう。と、ふと思ったりなんかして・・・
かさぶた、かぁ 由旬さま
2010/05/23(Sun) 21:54 No.925
griffonさんのコメントに何だかキュンとなりました。
利広は自分の役回りを心得てた上で陽子に接しているのか、はたまた、
傷にはびこる菌になり増殖していくのか。
尚隆と違って利広は今ひとつ読めない性格なので、私的には「菌」説を予想します。
シリアスなお話なのに、なんだかギャグのようなコメントに
成り果ててしまってすみません(>_<)
最後に、利広に対する嫉妬と感謝の気持ちが入り交じる、祥瓊の描写にほろりとしました。
Re: やっとふたケタ(笑) ひめさま
2010/05/24(Mon) 00:11 No.936
由旬さん、利広は前から本気だったのですよ。少なくとも菌じゃないような気がします。
……って私はいつから利広の肩を持つようになったのでしょう(笑)
遅くなりました 未生(管理人)
2010/05/24(Mon) 06:43 No.940
週末はあまり浮上できない管理人でございます。レス遅れてごめんなさい〜。
けろこさん>
大阪は真夏日ですか!
我が街は昨日やっと最高気温が20℃をちょびっと超えました。
でも風が強くて寒かったです。
はい、祥瓊もやっと利広を受け入れました。
けれど、辛辣な態度はあまり変わらないでしょうね(笑)。
最後の一文で、泣いている祥瓊に訳を問う鈴が浮かびました。
妄想を誘うご感想をありがとうございました!
griffonさん>
カサブタですか! さすが祭、思ってもみないご感想がいただけて興味深いです〜。
利広が育ちがよいので、そういう姑息なことはしない気がいたします。
少なくとも、陽子主上には。
「鳴くまで待とう」感覚なのだと思います〜。
由旬さん>
「菌」だと思っているのは側近なのかもしれません(笑)。
陽子主上はそういう邪なものには靡かないかと……。
祥瓊の複雑な感情を感じ取ってくださってありがとうございました。
ひめさん>
おお、利広擁護の発言をありがとうございます!
拙宅ではいつも利広は嫌われておりますので物凄く嬉しいです〜。