「投稿作品」 「11桜祭」

ときみちくれば 海さま

2011/03/23(Wed) 21:49 No.54

 はじめまして。海と申します。
 投稿するのは初めてで、勝手もよくわからないのですがお邪魔させてください。

登場人物   陽子・景麒 or 浩瀚・(戴国)  
作品傾向   ほのぼの風 それなりにシリアス  
文字数   472文字  

ときみちくれば

海さま
2011/03/23(Wed) 21:51 No.55

 夢を見た。

 どこまでも満開の桜の園林をゆっくりと歩を進める人影がある。ひとりは白髪の偉丈夫。もうひとりは鋼色の髪の少年。数歩遅れて姿勢の良い女性が続く。

 武人の男には花を愛でるなど思いもよらぬことで。少年と女性には花よりも瞳に映したいものがあり。
 ときおり思い出したように言葉を交わしながら、一面に咲き誇る淡い花色に見とれるでなく、穏やかに微笑む。頭上には今を盛りと咲く花があるというのに。
 彼らを邪魔せぬように鳥さえも遠慮がちにさえずる。
 花陰を迷うことなくひたすらに、けれど急ぐことなく目指す地へ歩み続ける。

 そうこうするうちに線の細い少年が陽子に気づき、傍らの主にうれしげにさし示しながら何やら告げ、手を振る。

「…主上」

 呼びかけられて陽子は眠りから覚めた。手摺を枕にうとうとしていたらしい。

――ああ、ここは彼らを見送った高楼だった。
 霞立つ空に目を遣る。

「笑っておられましたが」
「……うん」

 疑問符を伴わない問いに曖昧に答える。
 正夢であって欲しい。だから夢見たことは話さない。

 慶国はもう花の季節。
 かの国にも早く春風が届くといい。

終 (2011.03.23)

ありがとうございました。 海さま

2011/03/23(Wed) 22:08 No.59

 まずは、未生さま、このような場を設けて下さって本当にありがとうございます。 桜祭の雰囲気を楽しませて頂きます。

‐あとがきもどき‐

 名は島崎藤村『潮音』から。 直球ど真ん中の夢オチで申し訳ありません。
 名産が茶であるという共通項のせいか、私の中では慶国の気候は静岡県と同じという 設定になっています。 その静岡で開花宣言があったということで、矢も盾もたまらず投稿させて頂きました。
 参加できてうれしいです。

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背景画像 瑠璃さま
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