花散らしの風@管理人作品第4弾
2013/05/13(Mon) 14:24 No.451
皆さま、こんにちは。いつも祭に拍手をありがとうございます。
本日の北の国、最低気温は6℃、予想最高気温は14℃ですが、
今のところ11℃に留まっております。
一度消したストーブを再び点けてしまいました〜。しかし、しかしでございます。
開花情報まいりましょう!
本日5/13、札幌にてそめいよしのが開花いたしました。
昨日12日には函館のそめいよしのが満開になりました〜。
さあ、近隣の桜が咲き出しましたよ!
本日13日は祭開始から丁度2ヶ月でございます。
漸く、漸く桜が開花いたしました。
あの山盛りの雪、ちゃんと融けるものでございますね〜。
管理人もそろそろお花見の計画を立てようと思います。
写真屋がカメラを持っていってしまったので、
昨日の近所の桜をアップすることができません。
代わりにといってはなんですが、久々に甘めのお話をひとつ書き流しましたので、
よろしければお楽しみくださいませ。
拙作#105「佳氈の秘密」尚隆視点でございます。
※ 管理人の作品は全て尚陽前提でございます。
- 登場人物 尚隆・陽子
- 作品傾向 しっとり
- 文字数 906文字
花散らしの風
2013/05/13(Mon) 14:25 No.452
今年もこの季節がやってきた。甘く香る風に乗り、延王尚隆は隣国へと向かう。辿りついた宮では、咲き匂う花のような笑みが出迎えてくれた。既に準備万端だと笑う伴侶とともに、尚隆は再び蒼穹を舞った。
いつもの桜は満開に花を咲かせていた。最初に見つけた時から目を引く樹であったが、年旧りて更に見事な枝ぶりを見せる。隣から感嘆の溜息が聞こえた。尚隆はゆっくりと左へ視線を移す。
樹齢を重ね、優艶さを増した桜の古木。しかし、桜を見上げる伴侶は、初めて会ったあの時のまま凛然とした光を放つ。移ろうものと変わらぬもの、どちらも美しい。それぞれの美しさを同時に愛でられるこの時季は、いつも心が浮き立つ。長い年月を重ねた今も、その想いは変わらない。尚隆は笑みを浮かべ、桜と桜に見入る伴侶を眺めた。
心ゆくまで桜を堪能し、伴侶は楽しげに花見の準備をする。桜の根元に敷かれた佳氈が、存外に擦り切れているのを見て、尚隆は訝しげに問うた。
「ずいぶん擦り切れた佳氈だな。取り替えた方がよいのではないか?」
「ふふ、やっと気づいてくれた」
弾んだ声を上げ、伴侶は悪戯っぽい笑みを浮かべる。片眉を上げて先を促すと、伴侶はにっこりと笑んで嬉しげに続けた。
「この佳氈がぼろぼろになっちゃうくらい、ここで花見をしたんだよ」
緋桜が、色鮮やかにほころびる。変わらないのは、見かけだけ。改めてそう気づかされた。眉間に皺を寄せてばかりいた、あの頃の伴侶。今、柔らかな笑みを浮かべるその顔は、満開の桜花よりも美しい。尚隆は言葉をなくし、咲き誇る緋桜に見蕩れた。
ふと我に返り、尚隆は己の伴侶をそっと抱き寄せる。そして、甘い口づけを贈った。瑞々しい桜唇をじっくりと味わう。華奢な身体の温もりは、尚隆を熱くした。そのまま伴侶を佳氈の上に横たえる。腕に力を籠めると、伴侶は抗うように身動いだ。
「花を散らすのは風の役目だろう」
耳許でそう囁く。小さく首を振り、伴侶は軽く尚隆を睨んだ。
「わけが分からない。それに」
佳氈が、と続ける伴侶ににやりと笑って応え返す。
「佳氈は俺が新しいものを用意しよう」
だから今は。
尚隆はもう伴侶の抗議を受けつけることなかった。風が満開の桜を優しく散らしていた。
2013.05.13.
後書き
2013/05/13(Mon) 14:26 No.453
え〜、拙作#105「佳氈の秘密」にいただいた#110のsenjuさんのコメントに
触発されたイケない妄想を祭の規定内に収まるよう昇華してみました(笑)。
お楽しみいただけると嬉しゅうございます。
実は、#352「桜の雨」の原題は「花散らしの雨」でございました。
けれど、「花散らし」を調べてみると、
存外に艶っぽい逸話が盛り込まれているではございませんか!
こ、これは末声話に相応しくない!
というわけで、甘いお話に流用させていただきました。
お粗末でございました〜。
2013.05.13. 速世未生 記
こらこら ネムさま
2013/05/13(Mon) 22:01 No.454
せっかく咲いた花を散らしちゃ駄目ですよ、殿〜 と言いたくなりますが、
実は取り込まれているのは尚隆の方だったりして。
つい怪談へ行ってしまいそうですが、
それくらい陽子が魅力的に成長しているのでしょう。
これから何枚も佳氈をボロボロにして、買い替えの話が出来ると好いですね。
あまりに早い開花宣言に、今年はすぐ終わるかと思ったお祭りが、
意外な長丁場になりましたね。
家の周辺はすっかり青葉若葉ですが、もう少しこちらで桜を愛でさして下さい。
お弁当! 饒筆さま
2013/05/13(Mon) 22:42 No.456
はらはらと散る花雪の下でアツアツの御二方、御馳走様でございます。
ひと山もふた山も超えた陽子さん、
きっと目が離せぬほど素敵な女王様になっておいでなのでしょうねえ。
ああ殿が羨ましい、ダブル花見ですねえ(ふう〜・感嘆)
でも、せめてお弁当食べてからにしませんか、殿?(笑)
万が一蹴り飛ばしちゃったらどうするの?!(色気より喰い気・くつくつ)
それにしても、はや二ヶ月とは驚きです……本当に日本列島は長いですね。
当地ではもう夏日を迎えましたよ(汗)
ラスト☆クライマックスまで楽しませていただきまーす♪
ご感想御礼 未生(管理人)
2013/05/14(Tue) 14:04 No.459
本日13.7℃まで気温が上がりました。暖かいです〜。
いきなり20℃超したら夏バテしてしまうかもしれませんね(苦笑)。
ネムさん>
ほんと、「こらこら」ですよね〜。
いくら緋桜が綺麗だからといっても、ちゃんと花見をしましょうよ、
と言いたいです(笑)。
あんまり佳氈をボロボロにされては、見下ろす桜が照れて緋桜になってしまうかも……。
そちらはすっかり青葉若葉ですか! 北の国はやっと桜が咲いたばかりですのに〜。
もうしばらく祭で桜をお楽しみくださいね。
饒筆さん>
コメント拝見して吹きました!
確かに佳氈を広げたばかりで何も用意してないですね、心配です、お弁当(笑)。
気の早い開花に大慌てで祭を始めてもう2ヶ月でございます。
お付き合いをありがとうございます〜。
あらあら、夏日ですか! 我が街はまだ20℃にも達しておりませんよ(苦笑)。
その分、祭を長く楽しめて助かりますが。
最後までどうぞよろしくお願いいたしますね〜。
甘い尚陽は読むに限りますv 翠玉さま
2013/05/14(Tue) 17:04 No.461
いそいそと花見の準備をしている陽子さんは健気で可憐ですねぇ・・・
そんな姿を拝見できるのは内宮で王のそば近くに勤める者達と殿だけですか。
(ああ、こちらに集う人たちもv)
だからこそ皆は応援して協力するのでしょう。
この佳氈も陽子主上が求めた際に皆であーでもない、こーでもない、
と選びに選び抜かれたモノに違いありません。
新しい佳氈を殿に贈ってもらってもその擦り切れた佳氈は大事に取っておきそうv
それにしても佳氈が擦り切れそうになるまで気づかないとは、
本当に殿は陽子さんしか目に入っていないのですね・・・
佳氈がなくても殿ならば、己の上衣を敷いてでも、ゲフン、ゴホン・・・
未生さんの桜が待ち遠しい気持ちが込められているような、
ウキウキと甘いお話をごちそうさまでしたv
ご感想御礼 未生(管理人)
2013/05/16(Thu) 16:13 No.470
翠玉さん>
甘い小話をお楽しみくださりありがとうございます。
そして、いただいたコメントでまた妄想が……(笑)。
管理人をも楽しませてくださりほんとうにありがとうございました〜。
いつでも senjuさま
2013/05/17(Fri) 00:03 No.475
うふふ、胸の膨らむような微笑ましい? 殿をありがとうございます(笑。
擦り切れに気づくのが遅い? と思われた殿ですが、
この場合ばかりは「細かなところに目が届かない男性の特性」ではなくて、
「だって陽子さんしか見ていないんだもの」と云わせてください(笑。
ああ、可愛いったら(笑。
そして、そんな殿の熱視線に気がついていない陽子さんが堪らないです。
饒筆さま、お弁当、心配ですよね
(笑。・・・でも蹴り飛ばして叱られる殿も可愛いかも(くすくす。
ご感想御礼 未生(管理人)
2013/05/18(Sat) 07:06 No.485
senjuさん>
お呼び立てした挙句遅くなってごめんなさい〜。
はい、華見と花見に気を取られて
他のことはあまり目に入っていないのでございましょう。
可愛いとのお言葉、嬉しゅうございます!
お楽しみくださりありがとうございました〜。