「管理人作品」 「13桜祭」

散@管理人作品第7弾オマケ

 祭に間に合わなかったという素敵絵をいただいてしまい、 思わず書き流した小品で、お解りかとも思いますが、 祭に出した小品「花、散らす」の尚隆視点でございます。
 いやぁ、瑠璃さん、ありがとうございました。
 いただいた素敵絵は祭跡地に掲載いたします。 現在鋭意整備中でございます。今しばらくお待ちくださいませ〜。

(拍手其の三百六十七)

 静かに降りしきる薄紅の雨。微風に散らされる数多の花びらが、佳氈の上に広がる豊かな緋色の髪を淡く彩る。少し潤んだ瞳も悩ましい伴侶が、不意に溜息をついた。そのまま手を空に伸ばす。
「――どうした」
 彷徨う華奢な手を掴みつつ訊ねると、伴侶は掠れた声で応えを返した。
「花びらが、綺麗で……」

 まだ気を逸らす余裕があったのか。

 そう思うと苦笑が漏れた。耳朶に唇を寄せて囁きかける。桜が降らせているのだろう、と。

「見ないためか、見せないためかは分からぬがな」

 尚隆はそう続け、柔肌に花びらを散らしていく。伴侶は小さく息を呑んだ。頬が、ほんのりと桜色に染まっていく。そして、伴侶は瞳を閉じた。

 暖かな春風が、いつまでも花びらを散らしていた。

2013.06.06.

後書き

 跡地作成に手間取り、大変遅くなってしまいましたが、 瑠璃さんにいただいた素敵絵「降る花びら」を跡地に収容させていただきました。 萌えをいただいたこの小品もオマケとして置いておきます。

2013.07.16. 速世未生 記
背景画像「四季の素材 十五夜」さま
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