桜笑季＠管理人作品第１弾

　祝そめいよしの開花！
　本日３/１８、気象庁より高知にて最初のそめいよしの開花が発表されました。 管理人、毎日ドキドキしながら気象庁の「2014さくらの開花情報」を覗いておりました。 気象協会の予報どおりの開花ですね。というわけで、今年も祭を始めさせていただきます！

　投稿掲示板へようこそいらっしゃいました。 皆さまのご参加を心よりお待ちいたしております。
　投稿の見本も兼ねて、管理人作品第１弾を投下いたします。 よろしければお楽しみくださいませ。

• 登場人物　　蘭桂・陽子
• 作品傾向　　しっとり
• 文字数　　762文字

桜笑季

　咲き初めた薄紅が青空に映えていた。ここにも縁の花が咲く。微風に揺れるひと房の桜を見上げ、蘭桂は唇を緩めて筆を置いた。

（見事に桜を咲かせたね）
　そう言って鮮やかな笑みを見せたひと。首を傾げる蘭桂に、陽子は楽しげに教えた。「さくらさく」という言葉は合格を意味するのだ、と。自分も昔そう祈ったことがある、と続け、陽子は桜花のような笑みをほころばせた。あれは、蘭桂が少学に受かった時のこと。陽子は蘭桂の合格を己のことのように喜んでくれたのだ。

　住み慣れた金波宮を巣立って幾年も過ぎた。花見の時季に帰ることなどなかなかできずにいるが、それでも桜はあちらこちらで咲き乱れる。国主が愛する花を、国主を愛する民が植えて増やしているからだ。下に降りてみて初めて知ったその事実は、蘭桂の胸をじんわりと温めた。

　かつて、今は亡き姉と雲海に伸びる瑞雲を見た。新王が入城するときに現れるというその雲に深く頭を下げて祈りを捧げた。新王が幸いを恵んでくれますように、と。その後、雲の上に住まう王は、人として現れ、ひとときを下界で過ごした。固継の里家でともに暮らした陽子が王と知った時は、驚きすぎて声も出なかった。
　姉を喪い身寄りを亡くした蘭桂を、陽子は引き取って育ててくれた。そんな優しい陽子に剣を向ける者がいると知ったあの日。悩める蘭桂に、太師遠甫は静かに語った。主上の意向を理解する者が増えればなくなることだろう、と。その言を聞いて、蘭桂は景王陽子を支える手のひとつになりたい、と強い思いを抱いたのだ。

　今、蘭桂は次の桜を咲かせるために勉学に励んでいる。大学に合格したならば、胸を張って城へ報告しに行こう。懐かしいあの桜の樹の下で、陽子と喜びを分かちあおう。それまでは。
　気を引き締めた蘭桂は、再び筆を持ち上げる。そんな姿を、咲き初めの桜は静かに見守るのだった。

2014.03.18.

後書き

　今年の第１弾は蘭桂にご登場願いました。 桜の季節に相応しい決意を語ってくれたように思います。 きっと見事桜を咲かせてくれることでしょう。大いに期待したいものでございます。
　皆さまにもお楽しみいただけると幸いでございます。

2014.03.18.　速世未生　記

Re: 祝そめいよしの開花！　griffonさま

　蘭桂かぁ〜いいっ
　桂桂にとっては、姉であり、母であり、庇護者であり・・・ 憧れであり、それはいつか淡い恋となり・・・ って続きが脳裡に浮かぶようだ。
　評価軸が陽子さんだと、ハードルたかいだろうなぁ〜
　桜の季節にピッタリのほわほわした気分にひたれました(*´ω｀*)

Re: 祝そめいよしの開花！　瑠璃さま

　本当に素直でいい子ですね、蘭桂。 目標に向かってひたむきに頑張っている蘭桂を見ていたら、 わたしも気をひきしめて頑張ろう！と思いました(何を？・笑)
　陽子さんを支えるために、一歩一歩着実に進む姿が目に浮かぶようです。 そして陽子さんの笑顔がご褒美ですね。

やったぁ開花！！　饒筆さま

　今年も素敵なお祭りが始まりましたね！（わくわく）　 開催おめでとうございます＆ありがとうございます〜ッ！！　 また皆様といろんな桜を愛でられるのがとっても嬉しいです♪
　さて、爽やかですね蘭桂クン！　 季節柄？か、なぜだか「蛍の光」が聞こえてきました…… 蛍光や雪明りでのお勉強はストイックで大変そうですが、 窓外の桜を眺めながらならルンルン捗りそうですね〜♪　 手どころか、超頑張って陽子さんを支える大黒柱になってくださいませ （少年よ大志を抱け！）
　せ、拙者も近日中にお祝い品を持参する大志を抱いております……（汗）

祝　2014「十二国」桜祭開催！　ネムさま

　また季節が巡って来ましたね。
　お祭り開催、おめでとうございます。 今年もここで皆様にお会いできたことが、本当にうれしいです。
　トップバッターは桂桂。う〜ん、見事なクリーンヒットです。 花弁を乗せた春風がさぁーと吹いたような爽やかさ。 こんな風に、陽子の真摯な気持ちを伝えられる人に育ってほしいですね。
　それにしても、自分が頑張ったことを、他の人が喜んでくれるという事は、 本当に幸せなことですね。
　まだ何も用意していませんが、今年も楽しみにしていますので、 よろしくお願いいたします　ｍ−−ｍ

ご感想御礼　未生（管理人）

　今朝の我が街の最低気温は０℃。隣街は−５．２でございました。 昨日は一日プラス気温で、久々の雨に傘を使いました。 本日は晴天で雪山の嵩が減りました。春が近づいておりますね〜。
　祭開始に早速のレスや拍手をありがとうございます。 何度祭を催しても最初は緊張いたしますので、 温かく迎えていただけて嬉しゅうございました〜。

griffonさん＞
　蘭桂をお褒めいただけて嬉しゅうございます。 ほんと、基準が陽子主上では、なかなか他に目がいかないでしょうねぇ(苦笑)。 妄想を呼び覚ます様々なお言葉をありがとうございます。 なんだかムラムラいたします(笑)。

瑠璃さん＞
　思春期の子がこんなに素直なわけはないですね。 多分に管理人の願望が入っております(苦笑)。 　努力家の蘭桂はいつか陽子主上にとってなくてはならない有能な人材になることでしょうね。 そうです、陽子主上の笑顔が最高のご褒美です(笑)。

饒筆さん＞
　こちらこそ、今年もよろしくお願いいたしますね〜。
　「蛍の光　窓の雪」――確かにお勉強するには弱い光かも、ですね〜。 きっと蘭桂は地道に努力を重ねて末は慶の屋台骨。管理人も期待しております〜。
　饒筆さんのご投稿、お待ち申し上げております！

ネムさん＞
　今年も祭を開くことができました。どうぞよろしくお願いいたしますね〜。
　クリーンヒットとは嬉しいお言葉でございました。 爽やか蘭桂は陽子主上にとっても癒される存在なのだと思います。
　ネムさんのご投稿、お待ち申し上げております〜。

金波宮と桜　空さま

　ご挨拶は改めてさせていただきますので！
　このお話を読ませていただき、未生さまの描く金波宮と桜に思いを寄せてしまいました。 蘭桂がまだ大学に合格していない時期で、 すでに金波宮の周りには美しい桜があちこちに咲いているようです。 陽子さんが好む「桜」が数年で増えている。 王として立った陽子さんを民人が受け入れている世界なんだなあと思ってしまいました。
　空（くう）は、桜は不思議な花だと思います。 蘭桂の思いも、桜に寄せて陽子さんに答えようとしている。 ちょうどこの掲示板のバックにあるような桜をイメージしました。
　お祭の始まりにふさわしい明るく伸びやかなお話だと感じています。 素敵なお話ありがとうございました。

ありがとうございます　未生（管理人）

　実家にはさくらんぼの樹がございます。 昔母が気紛れに植えた種が芽吹いてあっという間に人の背丈を越えました。 そして少ないながら毎年可憐な花を咲かせます。 実はほとんど小鳥に食べられてしまうそうですが(苦笑)。
　そんなわけで、今回拙作の舞台は陽子登極後十年あたりの頃でございます。 お膝元の瑛州にはひょろんとした桜の若木があちらこちらにあるのではないか との妄想でございました。
　いつもながら、こんな短い文章から様々なことをご想像いただきありがとうございます〜。 嬉しいお言葉でございました。。

「さくらさく」いい言葉ですよね〜ｖ　翠玉さま

　蘭桂の思いに乗せて春を待ちわびる気持ちの籠もった作品ですｖ　 桜の季節が終わりかけている時分に間の抜けた感想で申しわけありません。 ご挨拶が遅れたことが返す返すも残念です。

　姉代わりの陽子主上の言葉を大事にする蘭桂がまた素敵です。 きっと、祥瓊や鈴もお姉さん的な存在ですよね。 虎嘯はお兄さん的かな、その虎嘯を通して夕暉もお兄さんになっていそう・・・ おまけに自国の冢宰や禁軍左将軍、さらには隣国の王や台輔、 戴国の台輔や将軍まで知り合いとは、末恐ろしい存在カモ・・・＠＠

ご感想御礼　未生（管理人）

　祭の始まりの頃はいつも雪がてんこ盛りでございます。 故に管理人の第１作は春を待ち侘びる系が多くなってしまうのでしょうね。 いえいえ、ご感想はいついただいても嬉しいものでございます。 お声を上げてくださって嬉しゅうございます〜。
　沢山の優しい大人に囲まれて育った蘭桂、 下に降りて己の育った特殊な環境に驚いたでしょうね〜。 素晴らしい見本ばかりが傍にいたのですから。 志高い青年になるのではないか、と管理人も期待しております！