「投稿作品集」 「14桜祭」

お花見してきました 饒筆さま

2014/04/06(Sun) 15:51 No.253
 再び失礼します〜当地、ただいま桜満開にて、昨日お花見に行ってまいりました。 その際に見かけた、うら若い二人が余りにも初々しくてキュートだった (思わずニヤニヤしちゃいました・笑)ので、 その様子を各国主従でパロってみました。
 突発一時間半クオリティ&相変わらずキャラが崩壊しておりますので、 生温かい目で笑い飛ばしてくださいませ。

桜下のふたり

饒筆さま
2014/04/06(Sun) 15:52 No.254

@良いお手本:廉主従(万年新婚夫婦)

 早くも満開を迎えた桜に急かされて、急遽、二人きりで慎ましやかな花見の席を設けたものの――空は真白い花曇り、挙句に冷たい風まで吹いてきた。
 世卓は肩をすくめ、廉麟を気遣う。
「肌寒くなってきたね」
「ええ、本当に」
「大丈夫かい?」
「ありがとうございます。でも、もう少し見ていたいんです……」
 廉麟は慈しむように目を細め、こよなく愛する花の天蓋を見上げる。その心から嬉しそうな横顔を眺め、世卓も温かな笑みを浮かべる。
 風の気まぐれにはらはらと零れる花びらが、しばし、その幸せな沈黙を彩って――
 温かい飲み物を淹れてあげようと伸ばした手が、ちょうど水筒の上で重なった。
『あ……』
 重なる視線。出るともなしに出た呟きが甘い気まずさを呼び、廉麟も世卓も慌てて顔を逸らす。が、大きな手だけが正直に、たおやかな白い手をぎゅっと握りしめた。
 とっさに俯く廉麟の耳が赤い。
 そしてそのまま廉麟は、コトンと金色の頭を世卓の肩に預けたのだった。

――か、かわいいいいいいいッ!!!(生垣の裏から見守っていた漣国臣下一同、萌えのあまり悶絶)

A悪いお手本:景主従(最初から倦怠期)

 早くも満開を迎えた桜に急かされて、急遽、二人きりで慎ましやかな花見の席を設けたものの――空は真白い花曇り、挙句に冷たい風まで吹いてきた。
「あーあ。みんな冷たいよなあ……」
 陽子はブツクサぼやきながら桜餅を頬張る。
「ちょっとくらい付き合ってくれてもいいのに」
 思いつきの誘い、しかも来週には大々的な園遊会が控えているとはいえ、やれ仕事だ用事だ忙しいと断られ続け、陽子の傍らには仏頂面の半身しかいない。
 いかにも仕方なくといった体で敷物に腰掛けた景麒が、これまた冷ややかな白眼を向けた。
「冷えてまいりました。戻りましょう」
「あー景麒は先に帰っていいよ。私はもう少し見てる」
 陽子はぷうっと頬を膨らませたまま、こよなく愛する花の天蓋を見上げる。その拗ねた横顔を眺め、景麒も片眉をあげる。
 花びら交じりの旋風が、黙りこむ二人の間を駆け抜けて――
 温かいものでも飲もうかと伸ばした手が、ちょうど水筒の上で重なった。
『……』
 軽く睨み合う翠と紫の瞳。景麒はサッと手を離すと、真新しい手巾を取り出し、几帳面に指を拭い始めた。
 陽子が唸る。
「……おい。これみよがしに手を拭くなよ。失礼だろ!」
「ネチネチしておりましたので」
 一旦手を止め、景麒は真顔で注意する。
「主上。かようにねばついた甘味は、素手でなく箸を使ってお召し上がりください」
「ああ、わかってるよ!おまえはオカンか!姑か!」
「わかっておられるなら、始めからそうしてください」
 フン!陽子は鼻を鳴らしてそっぽを向く。
 そして、はあ……。景麒は長い溜め息と共に遠い目をするのだった。

――ああ……御二方とも、どうして一歩も歩み寄ってくださらないんだろう……(生垣の裏から見守っていた慶国臣下一同、沈痛な落胆)

Bお手本にならない:延主従(永遠の悪童)

 早くも満開を迎えた桜に急かされて、急遽、二人で花見に出かけたものの――空は真白い花曇り、挙句に冷たい風まで吹いてきた。
「ガッカリだよなあ……」
 桜園に面し繁盛する茶屋の軒先で、延麒六太は口を尖らせ、頭の後ろで腕を組む。向かいの延も腕を組み、重々しく頷く。
「ああ」
「まさか、姉妹揃って嫁に行っちゃったなんてさあ」
「うむ……」
 そう。彼らの目的は桜でなかった。(オイ!)
「下の娘の、あの勝気な笑顔が見たかったなあ」
「おれは綺麗なお姉さんの方が良かった……はあ、身にも心にも寒風が沁みるぜ」
 ぶす〜っとむくれる六太に、姉妹から店を引き継いだ婆が大きい湯呑を差し出す。
「あいよ、坊。今日は寒いでな、甘酒たっぷりおまけしといたよ」
「ありがとー」
 温かな湯気と甘い香りが立ち昇る湯呑を受け取った途端、力強い手が横から伸びて、六太の手の上からむんずと湯呑を掴んだ。
「何すんだよ?」
「ひと口くれ」(ぐいっと引く)
「ダメ!これ、俺の甘酒ッ」(両手でググッと引っぱり返す)
「ケチなことを言うな」(再びぐいっ)
「ダメったらダメ!尚隆のひと口は多いんだから!そっちに普通の酒があるんだろ?」(またまたグググッ)
「たまには甘いのがいいんだ」(さらにぐぐいっ)
「尚隆が良くてもおれが良くない!」(身体ごと全力で引っ張り返す)
 不毛な引っ張り合いの末、
『ああっ!!』
 案の定、湯呑は横倒しになって、往来へ甘酒をぶちまける。
「キャアッ!!」
 驚いてあがった黄色い声。慌てて跳び下がる人混み。
「ごめんッ!!」「すまん」
 すかさず下げた頭をあげれば、めかしこんで花見に来た麗しい娘たちと目が合った。突如、二人の表情がキリリと締まる。
――今年の花見はこれからだ。
 延がサッと腰をあげた。六太もぴょんと続く。
「誠に申し訳ない。お嬢さん、火傷はしていないか?あ、その美しい衣が汚れてしまったな……すまん、どうかこの手巾を使ってくれ」(キメ顔)
「ホントごめんね、お姉さん。おれが悪かった……ねえ、その裾、おれが拭くよ。いい?」(上目遣いキラキラ)
 また別種の黄色い声があがる中、五百余歳の悪童たちはニコリと磨き抜かれた笑みを浮かべるのだった。

――貴方がたの辞書には「懲りる」という言葉は無いのですかっ?!(追いついた朱衡氏・怒りの雷撃)

<ちゃんちゃん♪>

感想ログ

背景画像「素材屋 flower&clover」さま
「投稿作品集」 「14桜祭」