「管理人作品」 「18桜祭」

桜花の感謝@管理人作品第2弾

2018/03/27(Tue) 23:57 No.127
 皆さま、いつも祭にご投稿及びレス、拍手をありがとうございます。

 本日の北の国、最低気温は+0.2℃、最高気温は+12.4℃でございました。 ふたケタ気温が続き、積雪深も15cmまで減り、自転車が増えてまいりました。

 それでは桜開花情報でございます。
 3/23に下関・大分・徳島・神戸・甲府、24日には高松・鳥取・奈良、 25日には岡山・水戸・前橋、26日には松江・津・宇都宮、 27日には彦根・富山にてそめいよしのが開花いたしました。
 また、3/26には長崎・熊本・宮崎・大阪・岐阜・熊谷、 27日には福岡・佐賀・松山・和歌山・名古屋・静岡・横浜にて そめいよしのが満開となりました。

 どんどん春が広がってまいりますね〜。皆さまのお住まいの地域は如何でしょうか。 ご報告をお待ち申し上げておりますね。

 さて、管理人は第2弾を書き流しました。 由都里さん作#109「桜花異変」の連鎖妄想でございます。 ワンライクオリティしかも捏造満載ではございますが、 よろしければお楽しみくださいませ。

桜花の感謝

2018/03/27(Tue) 23:58 No.128
 周囲がざわついている。人少なで静かなはずのこの場所に、驚くほど人が集まっていた。
「やはりこの樹が邪魔だな」
「大樹だが名もなき樹木だ。惜しくもなかろう」
 口々にそう言う人々の声を聴き、桜花は密かに溜息を零す。この場所に産まれて幾星霜、ひっそりと大きくなり、こっそりと花を咲かせていた。それも、もうすぐ終わる。この身は切られてしまうのだから。そんなときのこと。

「――切らないで」

 凛とした女声が響き、ざわめきがしばし消える。主上、と呼ばれた人物は鮮やかな緋色の髪を持つ少女であった。

「この樹は桜という。こんな大樹になるまでここに立っていたんだよ。春には綺麗な花を咲かせるだろう。だから――」

「主上!」
 言い募る少女はたちまち人々に囲まれた。口々に語られる大人の事情を聞かされて、少女はただ唇を噛む。その美しい翠の瞳が切なげに桜花を見上げた。桜花は微かに笑んで静かに枝を揺する。

 ありがとう。でも大丈夫。

 桜花の声など聞こえるはずもない少女が、人々に眼を移し、きっぱりと断じた。

「お前たちの事情は分かった。この樹を切ることは許そう。その代わり」

 言葉を切り、少女ははたと人々を見据える。そんな少女は威厳に満ち、桜花も固唾を呑んで少女を見つめた。

「別の場所にできるだけ多くの枝を挿して残すように」

 庭師を手配する、と言い置いて少女は人々を退らせた。静寂が戻った後、少女は桜花の幹に額をつけて哀しげに呟く。

「ごめんね。切らせたくなかったのに。私には力がない……」

 先程の威厳はどこへやら、少女の弱音に桜花は笑みを零す。そっと少女を抱きしめて、桜花は囁いた。

 いいえ、優しいあなたに感謝を捧げましょう。

 少女には聞こえないだろうが、桜花は気にしなかった。

 その後、桜花の本体は切られたが、枝の幾本かが別の場所に挿し木された。樹々が健やかに花を咲かせる頃、桜花は少女の髪に宿る。

 あなたのお蔭で今年も綺麗に咲けました。

 少女の髪が桜色に染まる。桜花が散るまで、少女は薄紅の髪を靡かせるのだ。桜花の感謝は少女を笑顔にするのだった。

2018.03.27.

後書き

2018/03/27(Tue) 23:59 No.129
 本日3/27は桜の日ということで、拙いものをひとつ仕上げました。 「桜花異変」の感想に挙げた「桜の精がその時季だけ降りてくる」という説を 形にしてみたわけでございます。
 由都里さん、こんなもので申し訳なく。 けれど、久々に楽しくワンライさせていただきました。 先日申し上げた通り、祭は即興短文修行の場でございますので(笑)。

 皆さまの素敵な桜、まだまだお待ちしておりますね〜。

2018.03.27. 速世未生 記

大歓喜大感謝 由都里さま

2018/03/28(Wed) 23:02 No.132
 未生さん、連鎖妄想ありがとうございます。 一発ネタでしたが、このような設定を使っていただけると本当に嬉しいですね(笑)
 私はどうしても耽美風に仕上げることができないので、 逆に「ワンライでこんなにしっとりしたものが…!?」と驚愕しております。 やっぱり字書きさんはすごいですね。
 私が何の捻りもなく「伐採→伐る」と変換したのに対し、桜の精が主人公だからか、 「切る」に直してくださっているのに感動しました。 こういうさりげない工夫と技術の高さが素晴らしいなあとしみじみ思っています。 そしてこんなに素敵な連鎖をいただけるとは、 我ながらいい仕事したなあとにやにやしております。
 陽子さん、桜の精にとっても気に入られましたね。 この小説では、桜の精はきっとまだ王宮のどこかにいるんでしょう。 挿し木を植えてくれたので、たぶん消えることなく元気でいるんだと思います。 陽子さんにはぜひ長い治世を敷いてもらい、 桜の精が再び大樹に宿れるようにしてほしいですね。

主上でお花見  饒筆さま

2018/03/29(Thu) 00:32 No.134
 おお! あの桜色の髪は、他ならぬ桜樹さんからの感謝の花便りだったのですね〜!
 陽子さんは桜さんの息災を知れて嬉しいし、 下々の者は季節限定☆超かわゆい主上という「お花見」ができて嬉しいし、 全員ハッピーになれる粋なお返しじゃないですか。
 さっすが桜さん♪
 ほのぼの、素敵な一幕をありがとうございます。

ご感想御礼 未生(管理人)

2018/04/01(Sun) 13:07 No.144
 今回お初の連鎖妄想にご感想をありがとうございました〜。 自作のレスつい忘れてしまってごめんなさい。

由都里さん>
 連鎖妄想をお許しくださりありがとうございました。 あんまり考えないで書いたワンライをお楽しみいただけて嬉しゅうございます。
 「伐る」が「切る」になったのはご指摘の通りだと思います。 作者も「桜には陽子主上が少女に見えるんだ〜」と吃驚いたしました。 普段は意図的に「少女」という言葉を避けておりますので(苦笑)。
 桜に気に入られた陽子主上、時季にはいつも桜色!  桜の女王と長く語り継がれることでございましょう(笑)。

饒筆さん>
 はい、「呪い」ではなくて「感謝」!  陽子主上の治世が長くなるにつれて呪い説がなくなっていくことでございましょう。 桜色の主上にみんなほっこりでございます。
 こちらこそ妄想を広げるご感想をありがとうございました!

桜との絆 文茶さま

2018/04/02(Mon) 23:24 No.179
 王から少女に戻った時の、陽子さんの幼げな表情が良いですね。 勅命で片付ければ簡単なのに、悔しい思いをしながらもちゃんと人々の話を聞くところが 陽子さんらしいなと思いました。
 薄紅色に染まる髪を見て、皆が「桜の季節だなぁ......」とほのぼのする姿が 目に浮かびますね〜。

桜のように  ネムさま

2018/04/04(Wed) 00:10 No.217
 未生さんの書かれる陽子は、凛々しさと初々しさを兼ね揃えて、本当に桜のような少女ですね。 そして決して諦めない。 桜に謝りながら、より良い方法を探ろうとする姿勢が、 来年もその次も見事な花(結果)を咲かせることになるのでしょう。
 爽やかでほんのりしたお話、ありがとうございました。

一粒で二度美味しい 篝さま

2018/04/05(Thu) 22:25 No.236
 由都里さんの描かれる陽子さんは愛らしく、 未生さまの書かれる陽子さんは楚々として美しく、本当にもうご褒美ですね、 ありがとうございま──す!!

 桜から陽子さんへの贈り物とそれに纏わる逸話は きっとあっという間に国中に広まるでしょうね。
 桜を慈しむ陽子さんの心根の優しさがいつまでもいつまでも語り継がれていきますように。

 素敵なお話をありがとうございました。

ご感想御礼 未生(管理人)

2018/04/11(Wed) 22:58 No.341
 拙作にご感想をありがとうございます〜。遅くなってごめんなさい!

文茶さん>
 王から少女への変化をお褒めくださりありがとうございます。 はい、ここで地勅命を使わないのが陽子主上!  いつか勅命を使わずとも臣を動かせる名君へと育ってほしいものでございます。
 そしてそのうち「桜の女王」の異名もつくのでしょうね〜。

ネムさん>
 凛々しいという御言葉は物凄く嬉しゅうございます。 尚隆がいなければ拙宅の陽子主上は凛々しくなれる(笑)。
 はい、臣の言い分を聞き、我を通さない主上でございます。 お褒めいただきありがとうございました。

篝さん>
 こちらこそお言葉ありがとうございます〜。嬉しく読ませていただきました。
 桜を愛する優しい女王は民からも深く愛されることでございましょう……。
背景画像「素材屋 flower&clover」さま
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