延王の本音@管理人作品第3弾
2019/04/05(Fri) 22:21 No.168
皆さま、いつも祭にご投稿及びレス、拍手をありがとうございます。
本日の北の国、最低気温は+1.2℃、最低気温は+11.4℃でございました。
我が街近郊の峠でも雪模様、道路は圧雪アイスバーンとのこと、春とはいえど油断はできません。
峠越えをするならばGWでも車のタイヤは変えられない北の国でございます。
さて、桜開花情報でございます。
4/1に金沢、4日に彦根、5日には仙台と福島にてそめいよしのが開花いたしました。
また、4/1に佐賀・松江・和歌山・横浜、2日に岐阜、3日に長崎・広島・津、
4日に熊本・高松・鳥取・大阪・名古屋・熊谷、
5日には下関・宮崎・松山・岡山・奈良・水戸・銚子・富山・福井にて
そめいいよしのが満開となりました。
春がどんどん広がっているようでございますね〜。
数日前、我が街は真っ白な朝を迎えました。3月が暖か過ぎたのでございましょう。
そんなわけで、またも雪の小品を書きたくなってしまったのでした。
ちょい甘な尚陽小品でございます。
※ 管理人の作品は全て尚陽前提でございます。
- 登場人物 尚隆・陽子
- 作品傾向 しっとり(尚陽)
- 文字数 1001文字
延王の本音
2019/04/05(Fri) 22:23 No.169
「――雪だ」
頓狂な声を上げて東の国の女王は窓辺に駆け寄る。その声で目を覚ました北の大国の王は、笑みを湛えてその様を見やり、楽しげに声をかけた。
「静かなわけだな」
賑やかなはずの関弓の舎館。既に朝陽が昇っているにもかかわらず、人も街も眠っているような静寂に包まれている。窓の外は白銀に輝く景色、夜からしんしんと降り続いた雪がすっかり音を呑み尽くしてしまったようだ。窓に貼りついた伴侶は降りしきる大きな雪を見て感嘆の溜息をついた。
「──まだ雪が降るんだ」
温暖な国の住人は驚くだろう。しかし、早春の北国ではそう珍しいことではない。春という季節は、行きつ戻りつゆっくりと移ろっていくものなのだから。尚隆はそう思いつつも窓の外に見入る伴侶に軽く不穏な言動を返す。
「雁が傾いているからかもしれぬな」
「
尚隆!」
伴侶は即座に振り返り、王の顔をして雁国の王を睨めつけた。生真面目な女王らしい反応だ。我が意を得たり、とばかりに人の悪い笑みを浮かべ、尚隆はゆったりと本音を返した。
「ようやくこちらを向いたな」
それを聞くやいなや、伴侶は大きく眼を瞠った。滑らかな頬が桜色に淡く染まっていく。そんな女王の可愛らしい様に満足し、尚隆も窓の外を見やった。
「牡丹雪だな。いや、桜雪だったか」
尚隆は懐かしげに眼を細める。以前公式行事のために早春の雁を訪れた隣国の女王に雪を所望されて関弓郊外へ向かったことがあった。ところどころに残る雪に歓声を上げる陽子を更に喜ばせたのが優雅に舞い振る大きな雪だ。微風に踊るそれは春を告げる牡丹雪だ、と教えれば、伴侶は悪戯っぽく笑って首を横に振った。
(牡丹雪? 私なら、この雪には違う名を付けるな)
首を傾げて先を促すと、伴侶は笑みを深めて答えを返した。
(──桜雪、だよ。春の雪は、まるで桜みたいに優しい)
そう言って匂やかな笑みを見せる伴侶は春の女神のようだった。尚隆がその笑顔にしばし見蕩れたことは言うまでもない。
「──覚えていてくれたんだ」
春の女神は頬を桜色に染めたまま嬉しげに呟く。そしてまた窓の外を白く染める雪に眼を移した。やれやれ、またも桜を思わせる雪に伴侶を奪われてしまったな。尚隆は苦笑を浮かべ、伴侶を後ろから抱きしめる。
「雪が降っても花見ができて、俺は嬉しいぞ」
雪よりも桜のようなお前の方が美しい。想いを籠めて横顔を見つめても、無邪気に外を眺める麗しき女神に尚隆の本音が届くことはないのだった。
2019.04.05.
後書き
2019/04/05(Fri) 22:24 No.170
09年に投稿いたしました小品「窓の外には」の尚隆視点になりますが、
読んでいなくても解ると思います〜。
峠は雪模様で道路は圧雪アイスバーンとのニュースに吃驚いたしましたが、
まだ4月初旬だということを思い出しました。
降っては融けを繰り返して北の国は春になっていくのでございました。
早春の北国をお楽しみいただけると嬉しゅうございます。
2019.04.05. 速世未生 記
ご感想御礼 未生(管理人)
2019/05/19(Sun) 18:55 No.583
自作へのレスは忘れがちで申しなく。
今読み返すと結構キツイ甘さでございました(苦笑)。
ですが、かの方の前では可愛い陽子主上は私の萌えツボ!
そしてひらりひらりと優雅に舞う桜雪は是非皆さまに実物を見ていただきたい
美しき風物でございます。
皆さま、ご覧くださりありがとうございました〜。