「投稿作品集」 「12桜祭」

瑠璃さまの#19「花酔」に捧げる戯れ言です 翠玉さま

2012/03/29(Thu) 23:50 No.157
 連鎖妄想といえるほどのものではありませんが、 管理人様に認めて頂いたことに別スレを立てさせて頂きます。
 麗しい絵を目にしても、このコンビに美しさやシリアスを思いつかない、 情緒欠落者です。 瑠璃さまにご笑納頂ければ、たとえそれが苦笑であっても本望です。

桜の精

翠玉さま
2012/03/29(Thu) 23:51 No.158
「夜の桜は何とも色っぽいね」
宵闇の灯りに浮かぶ桜を見上げて奏国の風来坊が言うと、雁国の無頼漢は酒杯を置いて口の端を上げた。
「蓬莱では桜の精は男だがな」
この言葉に奏国の風来坊は風漢を睨めつけたが、短いとは言えない付き合いで、その軽い表情とは裏腹の深い眼差しに冗談ではないことに気づいた。
「この桜が男に見えるなんて、蓬莱人の感性は我々の理解を超えるね」
雁国の無頼漢は酒杯をあおるとくつくつと笑った。
「蓬莱のとある坊主が静かに歳を経た桜を愛でていたいと願っても人が押し寄る騒がしさに、人を惹き付けるのは桜の咎だと愚痴ったら、桜はただ咲くだけで咎など無いと爺の桜の精が説教するという話があるのさ。(能楽の西行桜より)」
この話に奏国の風来坊は再び桜を見上げると、某国の老師を思い出して、くつりと笑った。
「それは、さぞかし人の悪い爺さんだろうな」
「俺としては常世の桜の精は艶っぽい天女でいてもらいたいと願ってはいるがな」
奏国の風来坊は酒を口にすると今度は雁国の無頼漢に向かって口の端上げた。
「どこぞの胎果の男王より、東国の女王にこの花は相応しいとは、わたしも思うよ」

ちゃんちゃん・・・
感想ログ

背景画像 瑠璃さま
「投稿作品集」 「12桜祭」