「投稿作品集」 「16桜祭」

瑠璃さまに捧げるミニコントです 饒筆さま

2016/05/11(Wed) 22:22 No.576
 こんばんは。早くも梅雨の走りが来てしまいましたね(汗)
 さて、#531瑠璃さまの甘〜い景陽絵からミニコントを連鎖妄想いたしました。 実に残念ながら先日の胸キュンが全て帳消しになりますので、閲覧にはご注意ください(笑) 瑠璃さま、お許しいただきありがとうございます♪

秘めた一言

饒筆さま
2016/05/11(Wed) 22:23 No.577
 空の青さえ温かな午後、満開を迎えた桜園が気になって始終そわそわなさる主上のために、景麒はお供を務めることにした。
「政務は山ほど溜まっています。なので、一周巡れば戻ります」(渋面)
「はいはーい♪」
 景麒の苦言を聞き流し、主はうきうきと花霞を見上げる。そして弾むように歩き出した。
 よほど桜花がお好きなのだろう、自然と溢れる笑顔が常より一層輝いておられる。その朗らかな報奨は景麒にも惜しみなく向けられ、麗らかな小路を辿りながら楽しい話の花も咲いた。
――お連れして良かった。
 景麒は素直に嬉しくなったが、誠に遺憾ながら顔には一切出ない。(表情筋硬すぎ)
 そうして、ほくほく浮かれた主従の前に中央の四阿が現れた頃、主上は不意に景麒の袖を引いたのだった。
「景麒。ちょっと」
 二人に従おうとする衛士を制し、主上はそのまま桜樹の陰へ景麒を引き入れる。
「何ですか?」
 怪訝そうに(というか警戒心いっぱいで)眉を顰める景麒と向き合い、主上はふふふと屈託ない笑みを漏らす。
「そんな顔をするな」
 しなやかな肢体が音も無く景麒に寄り添った。景麒の心臓がドキリと跳ねる。キラキラ光る翠瞳が悪戯っぽい上目で紫瞳を覗き込む。
「実はずっと胸につかえていたんだが……やっぱり、ちゃんと言おうと思う」
 くすくす。鼻にかかった笑い声が耳をくすぐる。景麒は何事かと構えたが――主上は一旦口を閉ざし、長い睫毛を伏せて、景麒の胸に垂れた金の髪をひと房指に絡めて遊びだしてしまった。つんつん引かれるその痛みがなにやら甘い。鼓動がますます早鐘を打つ。
「ですから――何ですか?」(ドキマギ)
 狼狽する景麒が急かすと、主上はついにそのご尊顔を寄せてきた。
「景麒」
 紅唇が緩む。こちらが蕩けてしまいそうな艶のある微笑だ。
「あのさ」
 主上がふっと吹き出した吐息が景麒の頬を撫で、その甘ったるいくすぐったさに景麒もつい、微笑んでしまう。してはならぬ期待が膨らむ。
 そんな中、衝撃の一言が囁かれた。
「おまえ、朝から鼻毛が出っぱなしだぞ?」

<ちゃんちゃん♪(爆)>

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