御題其の二十
思わぬ休日
「班渠、ちょっと出かけてくる」
「はい、お供いたします」
景王陽子の呼びかけに答え、班渠は足許から姿を現した。しかし、女王は片手を軽く振り、思わぬことを言った。
「いや、今日は、前から驃騎に頼んでいたから、お前は休んでいていいぞ。では行ってくる。──驃騎」
「はい」
短い応えとともに、女王の足許から赤い豹が現れた。女王は驃騎を促し歩き出す。同僚は班渠に軽く頭を下げ、女王に従って歩いていった。
班渠は隠形することも忘れ、呆気にとられて女王の後ろ姿を見つめた。女王に付き従うように、と主から命ぜられていた。それから常に女王とともにいた。それが当たり前と思っていた。女王に置いていかれたような気がしている自分に、班渠は驚いていた。
2006.06.03.
──知る人ぞ知る、某サイトさまのお祭用に書いていた小品でございます。
くすん、祭会期に間に合わせることができませんでした(泣)。
──続きをそのうち書きたいもののひとつでございます。
2006.06.03. 速世未生 記
(御題其の二十)
ひめさま
2006/06/03 13:42
こんにちは。
どう見ても使令にも序列がある感じですよね。
別名、えこひいき・・・とか。
驃騎に出し抜かれた(?)感のある班渠の呆然とした様子が手に取るようにわかって
とても面白いです。
でも、どちらへお出かけだったんでしょうね。
お祭、って 半・・とか 使・・とかの・・?
管理人さんにとって出品が間に合わず、残念な結果となったようですが、
読ませていただく側としてはこちらで拝見できて幸せです。
「黎明」に打ち込んでいらっしゃった時期だったのでしょうね、きっと。
「続きを期待していいような口振りだな。」
(誰かさんの言い回しで)
楽しみにしていますよ〜〜。
けろこさま
2006/06/03 21:17
こんばんは。
おお!やっぱり班渠は「イヌ科」なのですね〜。
この後、主に置いてきぼりを食らった飼い犬のように耳としっぽを下げてうなだれている後姿が
目に浮かぶようです。
いまなら某所祭掲載作品のように「お手!」と言えば、やってくれそうですねv
未生(管理人)
2006/06/04 04:32
ひめさん>
「えこひいき」──なのかしら? 私、実は班渠が大好きなのです。
「黎明」の息抜きに書き始めたのですが……お祭に間に合わなくて放ってありました。
そのうち続きを書きたいです〜。
けろこさん>
そうそう、書いてみたら「あれ? なんかイヌ科……」。詰まったのはそのせいもあるかも。
「お手!」と言われると、きっと澄まして手を出して、押しつぶしてくれると思います……。
ああ、なんか目に浮かぶ……。
というわけで、メッセージ、ありがとうございました〜!
続編も仕上げております。短編
「休日」、よろしければお楽しみくださいませ。別窓開きます。(2008.08.01.追記)