「目次」 「玄関」

常世語のお題(尚陽編)

華やかな襦裙じゅくん

 華やかな襦裙を纏い、髪を美しく結い上げ、豪奢な歩揺を挿した景王陽子が、仄かに頬を染めて現れた。麗しき女王を先導する氾王がにっこりと笑んでみせる。
「どうだえ、美しかろ?」
「まあ、陽子、素敵だわ!」
「綺麗だぞ、陽子!」
 すぐに立ち上がった氾麟と延麒六太が羞じらう女王に駆け寄った。主の官服姿を厭う景麒は満足そうに頷き、廉麟も楽しげに笑って首肯した。
「猿王、どうしたのじゃ? ……さてはおぬし、景女王に心を奪われたね?」
「──それは貴様のほうだろう」
 延王尚隆は天敵氾王に即行で応えを返す。しかしそんな尚隆も、内心はかなり動揺していたのだった。

2007.06.13.
 このお題はこれでしょう(笑)。 というわけで、長編「黄昏」余話より、御題其の四十六 「氾王の悪戯」 から始まるシリーズの続きでございます。 (読まなくても解るとは思いますが、よろしければご覧くださいませ)
 
2007.06.28.  速世未生 記
(常世語のお題(尚陽編)「は」)
背景画像「篝火幻燈」さま
「目次」 「玄関」