(開催期間 2021.09.01.~10.10.)
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コワくて膝が震えた
user.png senju time.png 2021/09/20(Mon) 16:34 No.36 [返信]
ネム様:セッセ、セッセの連鎖・・っていったら絶対怒られる。
ので、先に誤っておきます。ごっめんなさい!

蠱蛻衫を被って想い人の前に立つってどんだけ勇気・・って思いながら描いてたら
めちゃくちゃ怖い顔のお嬢さんが落ちてきました。
・・・どうみてもこれからカチコミにいく決死顔ですねぇ(苦笑。
他の名前で呼ばれたら、なんて思ったら膝が震えそう。
ためらいもなく名前を呼んでくれてありがとう、殿。
Re: コワくて膝が震えた
user_com.png senju time.png 2021/09/20(Mon) 16:36 No.37
窓に映った自分の形相にぎょっとするヤツ(苦笑。

37

いらっしゃいませ!
user_com.png 未生(管理人) time.png 2021/09/21(Tue) 02:20 No.40
 senjuさん、ご参戦&今祭お初の連鎖妄想をありがとうございます! 
 コワいなんてとんでもない! 審判に緊張される陽子主上がリアルに描かれている素晴らしい作品だと思います~。
 
確かにカチコミ(笑)
user_com.png 饒筆 time.png 2021/09/21(Tue) 20:43 Home No.42
senjuさま、お久しぶりです~!お目にかかれて嬉しいです♪
そうか、お話がハッピーエンドだから気にならなかったけれど、確かに蠱蛻衫を被って想い人の前に立つのってめちゃくちゃハードル高いですね!(ガクブル)
陽子さんったら、思い切りが良すぎて後で後悔するタイプだから……サンキュー&ご馳走様すぎましたわ殿ぉ!!
思い詰めても凛々しく美しい横顔に見惚れました(はぁと)
言われてみれば ーー;
user_com.png ネム time.png 2021/09/21(Tue) 22:42 No.43
 うわぁぁ~ 何も考えていなかった~!! 確かにあんな物被っていたら怖いですよね。陽子、ごめん ><
 でもsenjuさんの描かれた陽子はとっても綺麗です! 頭の上の被り物の雰囲気が花嫁衣裳に見えてしまって… 今度は式場へ赴く前に緊張してほしいです。
 すてきな連鎖妄想をありがとうございました!
美しや〜!
user_com.png 文茶 time.png 2021/09/22(Wed) 19:10 No.44
考えたら本当に蠱蛻衫怖い; 悪戯に使うならこれほど面白い物はないけど、想い人の前では心臓バクバクですよね^^;
緊張する陽子さんの横顔が美しいこと! 目尻に入る色がなんとも素敵です。
切なげな表情をされていますが、その被り物がすぐベールor綿帽子に変わりますので大丈夫です!(と、囁いてあげたい〜)
セッセ、セッセ
user.png ネム time.png 2021/09/11(Sat) 21:11 No.28 [返信]
 今回も周囲から固めていきます。
 My設定では、雁の三官吏は現在三公になっています。

登場人物:尚隆 陽子 六太 帷湍 成笙 朱衡 氾麟
作品傾向:ほのぼの3割 コメディ7割 ?
文字数 :2033文字
Re: セッセ、セッセ
user_com.png ネム time.png 2021/09/11(Sat) 21:15 No.29

 外堀を埋める ― 本音と弱味  ―



 いつまでも変わらないものなど無い。どれほど長きにわたり続いたものでも、いつかは形を変え、やがて消えていく … 
のはずだが、雁州国の玄英宮では五百年経った今でも変わらぬものが、ここにある。
「朝っぱらから どこへ行ったんだ、あの馬鹿は!!!」
 帷湍の大音声に庭院の鳥達が一斉に飛び立つ。それを横目に成笙が溜息を吐く。
「既に馴染みとは言え、他国の王と麒麟が見えているというのに」
「王気は宮殿内にあると、台輔が断言されましたから、まぁ大丈夫でしょう」
 既に必要な確認作業を済ませている朱衡が、落ち着き払って答えた。
 下級官吏または罪人の身分から現王に取り立てられ今や三公にまで上り詰めた、雁の官吏・武人達の憧憬の的である三人の、これが五百年続く朝の日課だった。
「俺は自分がどうしてあの連中に仕えていられるのか、最近よく考えるぞ」
「最近か?」
「この年齢(とし)になると、月日が経つのは早いと言いますからねぇ」
 変わらぬ絶妙のボケとツッコミを交わしながら三人が回廊を歩いていくと、一つ先の曲がり角に、彼らの主である延王と延台輔が辺りを伺うように歩いている姿があった。
「尚隆――!!!」
 帷湍の大音声に二人はびくりと立ち止まる。特に延王・尚隆は呆然としている。
「今日は景王と氾台輔との会見の日だぞ、忘れたか!」
「美女二人をお待たせするとは、主上らしくありませんねぇ」
 成笙と朱衡の二人が立て続けて言うと、延台輔・六太が上目遣いで尋ねる。
「あのさ … お前ら、誰に言ってるの?」
「無論、目の前にいる我が雁の王だ!」
 更に言い募ろうとする帷湍の言葉に、朗々とした声が重なった。
「そこにいるのは、陽子か」
 五人が一斉に振り向くと、回廊の反対側から『延王・尚隆』が快活な足取りで近寄って来る。二人の『延王』が向かい合う様に、さすがの三人も凍り付いた。しかしそうした三人をよそに、少し背が低い方の『延王』が掠れた声で言った。
「私が … 見えるのですか」
 問いと同時に、薄い膜が剝がれるように片方の『延王』の姿が崩れ、鮮やかな緋色の髪が流れ出た。
「おいおい、お前を見間違えるほど耄碌はしていないぞ」
 周囲の空気なぞ全く気付かず笑う尚隆だったが、次の瞬間、景王・陽子がその胸にしがみついて泣き出したのには、驚き呆然としたのだった。



「もう、こんなに皺だらけにして!主上にどう言えばいいのよぉ~」
「わりぃ、小姐ちゃん。でも蠱蛻衫のお陰でいろいろ分かったし~」
「分かってどうするのよ。陽子ったら、何でうちの主上でなく、尚隆になんか」
 愛らしい頬を膨らませて文句を言う氾麟を見ながら、六太は苦笑する。
― だって仕方ないじゃないか。尚隆には陽子が見えたんだから ―
 瀬戸内の海で領民と共に死ぬはずだった尚隆を、国と民とを引き換えに、雁へ連れて来たのは六太だ。六太が約束通り国をくれたからと、尚隆は雁を豊かで美しい国として返してくれた。
― でも、その先は? ―
 五百年続く大王朝、北の大国と褒め称えられて久しいが、六太は時々思う。この美しい国は永遠に続くのか、永遠に続くのなら、それを支える王はどうするのか、と。
― 永遠に、囚われ続けるのか?ここに ―
 尚隆は自由に常世中を巡る。でも雁からは決して抜け出せない。そうした尚隆の後姿を六太は見続けた。
― でも尚隆は振り返ったんだ。王になる自信は無いのに必死で王になろうとする陽子に。そして陽子と一緒なら、新しい行く先が見つかるんじゃないかって ―
 見る者にとって好ましい人物を見せると言う蠱蛻衫。たまたま他人に見つからぬよう尚隆を探しに、陽子は氾麟から借りて被って行っただけだが、尚隆に見えた姿は陽子その人だった。
― それなら … 俺は応援するしかないだろ ―
 六太はまだむくれている氾麟にニカッと笑いかけた。
「けどさ、王同士の婚姻、なんてなったら、すごいよな」
「何言ってるの。そんな例は今までに無いわよ。天帝がお許しになるわけ…」
「でもさ、でも実現するとしたら、宴会なんか超豪華になるだろ」
「まぁ…そうよねぇ」
「全国の王や麒麟を呼ばなくちゃならないしぃ。でも玄英宮(うち)って金はあるけど野暮なんだよねぇ~。範なら、そんな心配はないだろうけどぉ」
 氾麟の肩がぴくりと動いた。
「当り前じゃない。うちの主上が采配すれば、常世史上に残る素晴らしい宴になるわ」
「だろう?小姐ちゃんも見たいよなぁ~」
 氾麟がぶつぶつと“陽子は大丈夫だし、尚隆も黙らせておけば”と呟いていたが、ふと顔を上げて言った。
「でも玄英宮の三人!あの口煩い連中がこんなこと、許してくれるの?」
「大丈夫。ちゃんと弱味を握ったから」
 蠱蛻衫が見る者にとって好ましい人物に見えること、そして三人が三人とも蠱蛻衫を被った陽子を『尚隆』と認識したこと― それを尚隆に言えばどうなるか、と六太が言った時の帷湍等三人の表情を、あと千年経っても忘れないだろうと、六太は思う。
「これはこの先、いろいろと使えるぞ」
 そう呟いた六太は、とても仁獣には見えない笑みを浮かべたのだった。
じーん
user_com.png 未生(管理人) time.png 2021/09/11(Sat) 22:51 No.30
 ネムさん、2作目をありがとうございます。
 
 コメディ7割を心に留めて読んでいたら、じーん。感動しました! 誰かかの方の胸に縋って泣く陽子主上描いて……! 
 最後は悪知恵働く六太ににやり。蠱蛻衫てそういう代物ですよね~。なんだかんだ言ってもあの3人は尚隆に首ったけ笑。
 ネムさん、色々詰まった素晴らしい作品をありがとうございました!

 皆さまの尚陽をまだまだお待ち申し上げておりますね~。
うるうる(;_;)
user_com.png 文茶 time.png 2021/09/12(Sun) 10:21 No.31
「私が…見えるのですか」との台詞に、なんだか幻になったような言い方……とハラハラしていたのですが、蠱蛻衫を被っているとわかったとたん、ぶわ〜っっっと感動が押し寄せてきました。もう素敵すぎて泣きそうです......。゚(゚´Д`゚)゚。
そして蠱蛻衫が落ちると共に現れた陽子さんが尚隆にしがみつくシーン、私も見たいです! 誰か、お願いします……!(私の画力じゃ表現できませぬ)
あと、蠱蛻衫が皺だらけになったのは陽子さんが握りしめたから⁉︎ それとも誰彼使いすぎたのでしょうか? 気になります(笑)
披露宴は範で、客人は十二国の王と麒麟!! すごいことになりそうですね〜! 見たい、是非是非是非見たい!! 梨雪ちゃん、よろしくお願いします〜(*'▽'*)

素敵なお話をありがとうございます!
内堀も埋まっているのでは?!
user_com.png 饒筆 time.png 2021/09/12(Sun) 20:56 Home No.33
相変わらずお口が悪い(笑)三公の、してやられたポカン顔(あるいは苦虫を嚙み潰した顔)が見たい~ッ!!
ちゃんと証拠ビデオを残しておかないとね~六太くん!

いやぁ~尚陽だけでなく三公&延主従もラブラブ(笑)なご様子で、幸せで胸いっぱいになりました♪

口うるさい身内を黙らせ、戴と範の協力も得て、もはや全ての堀は埋まっているのでは?
あとは蓬山だけかしら……(むむっ強敵)
ありがとうございます!
user_com.png ネム time.png 2021/09/12(Sun) 22:03 No.35
未生さん> 感動して頂けてホッとしました。今回(生涯?)唯一の尚陽シーンです。私も見たい(笑)
 雁の三官吏も結局延主従のことが好きで、もうファミリー感覚なんだと思います。

文茶さん> いえいえ、文茶さんの美しい絵で描いてもらえれば嬉しいです。でもモフモフが無いなぁ(蠱蛻衫が毛皮だったら…)ちなみに皺だらけになったのは、尚隆が焦って陽子の涙を拭いたせいです。お返しに尚隆は氾王から意に添わぬ結婚衣装を着せられることになるでしょう。

饒筆さん> 本当にどんな表情をしていたんでしょうね、三人は(笑) 蠱蛻衫って便利です(笑)
 一気に内堀まで行きましたが、まだ半分。あとの半分の陽子側は考えていません。お祭り期間内に出来たらいいのだけど…

 コメントありがとうございました!
改めまして
user.png 文茶 time.png 2021/09/06(Mon) 22:03 No.20 [返信]
16周年おめでとうございます!
1ヶ月間、尚陽に浸れることに狂喜乱舞しております〜^ ^

糖度高めを!と思って描き始めたはずなのですが、あれ?おかしいな、表情が対照的な二人……(笑)

登場人物  尚隆・陽子
作品傾向  ほのぼの!?
タイトル  「朝議のあと」

20

もしかして
user_com.png 饒筆 time.png 2021/09/07(Tue) 21:44 Home No.22
文茶さま、こちらこそお久しぶりです。またお目にかかれて嬉しいです。

おお~っ!陽子さんのチャイナドレス可愛い!!
このお二人の表情を見ていると、賭け(囲碁)で負けたか、押し切られたかして久々に朝議に出席させられた尚隆氏&してやったりの陽子さんに見えますね♪
尚隆「ほら、ちゃんと出てやったぞ。これで満足か」(むす~)
陽子「はい♪よくお似合いですよ」(正装なんて滅多に見れないし・うふふ♪)
みたいな感じ?
あれ?朝議=罰ゲーム……?(笑)
何があった!?
user_com.png ネム time.png 2021/09/07(Tue) 21:49 No.23
 陽子の衣装が現代のチャイナドレスみたいな感じでステキです!そしてちゃんと(!)冠を付けている尚隆がカッコいい ^^
 しかし…朝議の後にこのお顔とは…また景王に無茶なお願いを吞まされたんでしょうか(笑)
 微笑ましい一コマ、楽しませて頂きました!
いらっしゃいませ~
user_com.png 未生(管理人) time.png 2021/09/11(Sat) 02:24 No.25
 文茶さん、早速のご参戦ありがとうございました! レスが大変遅くなって申し訳なく。
 
 陽子主上のチャイナドレスが可愛い♡ そしてイイ笑顔! どんな悪戯を成功させたのでしょう? 私的にはこの後の報復が多少コワイ……笑。
 
 饒筆さん、ネムさん、妄想を邁進させる先レスをありがとうございました!
 
ありがとうございます!
user_com.png 文茶 time.png 2021/09/12(Sun) 10:24 No.32
>饒筆さま
陽子さんを着飾らせ隊の私は隙あらば⁉︎色んな格好をさせちゃいますよ♪
この賭け(もしくは罠・笑)、三羽烏も絡んでいるに違いありません。してやられた&陽子さんの軽装を恨めしく思っている尚隆vs珍しいものを見られたのでウキウキな陽子さん&朝議に引きずり出せてホクホクな三羽烏、といったところでしょうか(笑)
延主従における朝議=罰ゲーム、ですよね⁉︎笑(今日も雁国は平和でなりより)

>ネムさま
陽子さんには今回可愛いめのチャイナドレスを着てもらいました。最初はスリットがあるタイプにしようと思ったんですけど、抱え上げたらずり上がって際どい感じになりそうだったので^^; 尚隆の正装も見ていただきありがとうございます♪
ネムさんのお話のように景王に甘い延王(公的にも私的にも)ですが、後から悪い顔してとんでもない事を言い出しそうで……怖いです(笑)

>未生さま
チャイナドレスが好評で嬉しいです〜^ ^
陽子さん今ニッコニコですが、尚隆をからかうときは身体を張らねばならないのですよ⁉︎ よもや忘れたわけでは……いや完全に頭の中から飛んでますね、その笑顔は(°_°;)
さて、どんなお仕置きか待っているやら……怖い怖い(笑)

コメントありがとうございました!!
これでも尚陽 ^^;
user.png ネム time.png 2021/09/06(Mon) 00:11 No.16 [返信]
 せっかくの尚陽祭なのに、甘やかなお話が書けない性分なので、今回は協力者を集めることにしました。

 驍宗様が何故かお父さんになっている…


登場人物:陽子 驍宗 尚隆
作品傾向:ほのぼの
文字数 :2420文字
Re: これでも尚陽 ^^;
user_com.png ネム time.png 2021/09/06(Mon) 00:14 No.17

 外堀を埋める ― 新しい風と親心 ―



「お忙しいところご指導を頂き、ありがとうございました!」
 目の前で真紅の長い髪が揺れた。その生真面目な言葉に、驍宗の目元が緩む。
「延王から話は伺っていたが、景王は筋が良い。先が楽しみですな」
「いいえ。私はこちらに来るまで剣の稽古なんてしたことがないから、賓満を取ってしまうと、まだまだ…」
 そこで景王・陽子は慌てて手を横に振った。
「でも、うちの冗祐は良い子です。景麒の言うことを聞くし、思いやりもあって」
 どうやら驍宗が賓満憑きの兵士に襲われたことを聞いたらしい。懸命に自国の使令を弁護する若い女王の姿に、驍宗は堪らず声を上げて笑った。


 王と麒麟が共に行方不明となり、天の条理が機能不全になるという、未曽有の混乱に陥った戴を救ったのは、一人の王師将軍の決死の行動と、それに応えた胎果の女王だった。世界の半数以上の国が協力し、蓬莱から泰麒を帰還させ、鉱山の底に落とされた王が戻ると偽王討伐への支援を行った。
 驍宗は、戴の大恩人とも言えるこの女王とは、乱の平定中一度顔を合わせたが、凛とした風情ながらも幼い面影を残した少女の姿に驚いたものだった。
「しかし、こうして改めてお話すると、景王の真面目で思いやりのある気質が分かります。さすがにあの延王を動かされた方だ」
 偽王が討たれ落ち着きを取り戻した白圭宮へ、ようやく招くことが出来た恩人に、驍宗は感謝と賛辞を伝えた。
「でも本当は、延王も戴のことが気になっていたと思うんです。私の無茶振りに乗ったような顔をしていますけど、いい機会だと思ったのかも」
「あの方はそれ程甘くはない。国に益が無ければ、例え情があっても切り捨てる」
 驍宗の強い言葉に、陽子は思わず背筋を伸ばした。
「私が延王ならば、今回の戴の出来事は、やはり見て見ぬことにしたでしょう。しかし延王から貴女が“民を救済する新しい道を作りたい”と言って説得されたと聞き、目が開く思いでした」
 驍宗の真紅の瞳がひたと陽子を見る。
「私は敵の手に落ちるまで自分の力を過信し、自分の力のみで国を救えると思っていました。今回のことで他人を頼ることと、信じることの違いを学びました。私は民を信じ、そして他国とも手を携えて行ける道を探したいーそれが王としての、これからの私の役目ではないか、と」
 見開かれていた翡翠の瞳がふと伏せられ“よかった”という呟きが漏れた。
「申し訳ないと思っていたんです。あんな大きな啖呵を切って、そのくせいざとなると自分の宮殿で内乱を起こしてしまい、結局雁や奏、範の大国に全部任せるようなことになってしまった…」
「どの国の王も、景王を褒めこそすれ、お怒りになるようなことはなかった」
「でも、他国の王の言い出したことで、他国へ戦に駆り出された人々は…いろいろ思うでしょうね」
 小さく首を左右に振る陽子の言葉に、驍宗は眉を顰める。驍宗も雁の軍と同行した際に耳にしたことがあるのだ。“延王は若い景王に甘い”と。
「その思いは、我が戴が受けるべきものでしょう。景王が一人悩まれることはない」
 驍宗の言葉に肩を下しかけた陽子は、しかしすぐに顔を上げ言った。
「でも私の力が不足しているのは事実です。その不足を今だ延王に庇ってもらっている。
 あの人は文句を言っても必ず受けてくれる。笑ってくれて…それが、くやしい」
 そしてまた俯いてしまった少女の細い肩を見つめ、驍宗は“随分と矜持の高い娘だ”と苦笑しかけて、ふと気が付いた。幼く項垂れた少女の表情を隠す真紅の髪。その間から僅かに見える白い首が、ほんのり紅い。
― まさか ―
 自他共に認める武骨者の驍宗だが、伊達に百年近く多くの人心を掌握していたわけではない。“くやしい”の一言に、自分の無力を嘆く気持ちや相手への思いやり以上の想いを感じ取り、思わず唸った。
― 悪い方ではないが、頻繁に妓楼へ出入りしているとも聞いている。いや、その前に、王同士ということに、天がどう判断されるか…。やはりここは大人の分別として ―
 至極真っ当な年長者として悩む驍宗だが、不意にあることを思い出した。


「現在(いま)の胎果は人をこき使う。お前も気を付けろ」
 声も表情も明るかった。多分泰麒の話をしていたのだろう。不調を抱えた己の麒麟を想い言葉が重くなりかけた驍宗に、延王・尚隆は景王を持ち出し、笑い飛ばした。その軽口に“相変らずな”と笑いかけて、驍宗はもう一度相手を見直した。
 嘗て驕王に命じられ延王・尚隆と剣を交えて以来、驍宗にとって延王は乗り越えるべき目標となった。同じ歳月を過ごせば後れは取らない、と己を鼓舞してきた。
思い返せば己の傲慢さに羞恥さえ覚えるが、函養山の底で闇だけを見つめてきた今、不思議と延王・尚隆という人物がよく見えるような気がしていた。陽気な振舞の合い間にふと見え隠れする“陰”―施政者の冷酷、永く生きる者の無常観、脆さ―そうした諸々のものが以前の彼には纏わりついていた。
 しかしこの時、若い女王の傍から見れば途轍もない無鉄砲な行動を話している彼からは、その“陰”がきれいに拭い去られていたのだった。


 驍宗は目の前の少女を見た。自分の無力に項垂れる姿は、己の麒麟の幼い頃を思い出させる。外見は全く違う二人だが、自分の置かれた場所で必死に戦う、そのしなやかな強さは同じものだ。
― 確信はない。しかし…この少女にあの延王の“陰”と対峙する程の力があるというならば…面白い ―
 驍宗の視線に気が付いたのか、陽子は顔を上げ慌て気味に言った。
「申し訳ありません。こんな愚痴なんか言って」
「いいえ。景王は我が国の恩人。私も泰麒も、貴女のためなら助力を惜しみません」
 そうして驍宗はゆったりと微笑んだ。
「いざとなれば、李斎を蓬山へ遣わしましょう」


 その後。
「ねぇ高里くん。泰王って包容力があって、何だか“お父さん”みたいだね」
「あ、中嶋さんもそう思います?」
 景王と泰麒のはしゃぎ合いながらの会話を聞いて、白圭宮の人々が固まった、とか。
確かに驍宗様も陽子さんに甘そう・笑
user_com.png 饒筆 time.png 2021/09/06(Mon) 21:21 Home No.18
ネムさま~!こちらではお久しぶりです!
驍宗様はお父さん説、確かにそんな感じがしますね!
「息子(泰麒)の同級生の娘さん」みたいな感じで優しく接してくれそうです。な、なんと、れ、恋愛相談まで受け付けてくれる……?(おお!)
お父さん公認(笑)のお付き合いなら胸を張ってラブラブできますね(うふふ)
ほっこりする一幕をありがとうございました♪
頼りにしてます、驍宗さま!
user_com.png 文茶 time.png 2021/09/06(Mon) 21:55 No.19
ネムさま、こちらでまたお会いできて嬉しいです!
しょんぼりしている陽子さんを見ながら静かに百面相している(眉や目、口元のかすかな動きで表情を変えているので、周りからはポーカーフェイスにしか見えない) 驍宗さまが浮かんでまいりました(笑)
今は一人でぐるぐると考えていらっしゃいますが、きっと李斎と相談しながら二人を見守ってくださるでしょう!(おや?お父さんから仲人に!?笑)
ありがとうございます!
user_com.png ネム time.png 2021/09/06(Mon) 22:16 No.21
饒筆さん> そうそう、小さい頃から知っている親戚の女の子みたいな感じですね。自分の子じゃないけど親身になるような。尚隆に対しても、7年の修行を経て(?)同業者としての親近感の方が増してきたかな、と思っているので、今後二人の強力な後ろ盾になってくれるでしょう(笑)

文茶さん> 驍宗様の百面相!!! 見てみたい!近くに麾下メンがいれば分かるんでしょうか。 驍宗様には是非、お式でバージンロードの付き添いをお願いしましょう(笑)

コメントありがとうございました ^0^/
いらっしゃいませ!
user_com.png 未生(管理人) time.png 2021/09/11(Sat) 02:00 No.24
 ネムさん、早速のご投稿をありがとうございました! レスが大変遅くなって申し訳なく。

 驍宗さまから見た尚陽とは、とわくわくして読み進めてまいりました。驍宗さまの洞察力の高さに唸り、陽子主上の可愛らしさに胸キュンし、闇を払っているかの方に胸を撫でおろし……。そして! ほのぼのと銘打ちながらのパワーワード! 笑わせていただきました。
 きゃっきゃする胎果たちを見て固まる白圭宮の面々が見えるようでございます笑。
 皆さまのご感想の秀逸さにも膝を打ちました。「ご感想までが作品」との名言をいただいたこともございます。感謝! 

 饒筆さん、文茶さん、先レスありがとうございました。
ありがとうございます!
user_com.png ネム time.png 2021/09/11(Sat) 21:04 No.27
未生さん> 陽子を可愛いと言って頂き、胸をなでおろしております。カップリングのお祭に、当人同士が一緒に出てこず、親(?)が出てくるなんて~。でも泰主従は最終兵器(?)を持って応援してくれるのでお許しを ^^;
 
 お忙しいところ、お祭を開催して下さり、ありがとうございます!
お祝いの献上品です
user.png 饒筆 time.png 2021/09/03(Fri) 00:47 Home No.8 [返信]
改めまして、未生さまサイト開設16周年のお祝いに、拙作の尚陽(陽尚?)を献上します。
出だしはなにやら不穏ですが、結局ただのラブコメなので(笑)、どうぞご笑納くださいませ。


登場人物  陽子・尚隆
作品傾向  シリアスのふりをしたラブコメ
文字数   1693文字
サヨナラはまだ遠い
user_com.png 饒筆 time.png 2021/09/03(Fri) 00:50 Home No.9


 囚われの鈴虫が竹籠の中で鳴いている。
 さやかな月の下、名君と呼ばれて久しい男はその音を肴にひとり、酒を嗜んでいた。
 今宵眼下に広がる雲海は晴れわたり、永遠と信じる繁栄を誇る都がその弓形をたっぷり太らせ燦然と輝いている。其処は彼が長年心血を注いだ国。手塩にかけた街だ。
 が。それらを映す射干玉の双眸に光はない。
 心は此処にあらず、ただ、手だけがゆったりと杯を口へ運ぶ。
「ここでしたか」
 唐突にかけられた声にも、男は微塵も応じない。
 声の主——軽装の乙女はかるく肩をすくめ、
「探しましたよ」
 男の様子などお構いなしにずかずかと歩み寄ると、ストンと背中合わせで腰を下ろした。
 そのまま、大きな背中に凭れかかりながら話を続ける。
「珍しいこともあるものですね。祭りの夜に、他ならぬ貴方が引きこもっているなんて」
 杯に残る酒精を吸う音。それから杯を朱塗りの盆へ置く音が虚ろに響く。
 乙女は精一杯背を伸ばし、背後から男の横顔を覗き込んだ。
「うわ、怖い顔」
 わざと耳元で囁いてやれば――
 大きな溜息とともに逞しい腕が伸びてきて、乙女を引き寄せ隣に据えた。
 乙女はすかさず男の顔色を窺う。
 しかし、ひとつ首を振った男はいつもの人を食った笑みを刷いてみせた。
「まったく、陽子はまた間の悪いときに――」
 そう言いさし、男は彼を見上げる乙女の固い表情を見咎めた。朗らかに笑んでいた目をスッと眇める。
「……さては見計らって来たな」
「ええ」
 乙女はあっさり認め、その強い眼差しで男をまっすぐに射貫く。
「何か良くないことを考えていたでしょ」
「何のことやら」
「貴方は隠し事が上手だけど、私には通じませんよ。わかるんです」
「ふん。ぬかせ」
「本当ですって。これはきっと惚れた『強味』です。思ったより……貴方が思うより、私は貴方に骨抜きですから」
 乙女は膝立ちになり、男へその身を乗り出した。女性にしては武骨な手が男の頬を包む。煌めく翠の瞳が男に迫り、身も世もなく縋る。
「まだまだ一緒にいたいんです。……行っちゃ嫌だ」
 甘い吐息とともに吐露した言葉を押し込むように、乙女が唇を重ねた。男がそれに応えてくれるのを感じて、少しだけ安堵する。
「本気の貴方を止められるとは思えないけれど、それでも私、思いっきり邪魔しますからね。ガードレールは無理でも、つっかえ棒くらいにはなりますから」
「がーどれーる?」(とは何だ?)
 柔らかな唇を気まぐれに啄みながら、男は意地悪く笑う。
「俺亡き後は諸々面倒をみてやるから安心しろ、などと言ったのはどこの誰だ」
「私の同意を得ずに、勝手にいなくなっちゃダメです。そんなひとの後始末なんて知りません」(ツーン)
 乙女は急にそっぽを向いてしまった。
「同意が要るだと?」
 一方の男は呆れて聞き返す。
「陽子。おまえ、あと何年俺をこき使う気だ?」
「それはもちろん……私の気が済むまで!」(はぁと)
 強気な笑顔で振り返った乙女はどこまでも本気だった――そうだ、こういう奴だったと男は達観して目を瞑る。
「……あい分かった」
「わかってくれました?」(わぁい♪)
 ぬか喜びする乙女を、男はおもむろにガッチリ抱えあげ(捕獲完了)、
「えっ?」
 乙女の戸惑いを無視したまま、やおら立ち上がる。そしてのしのし歩きながら、荷のように運ばれる乙女へ下した宣告は。
「なら、さっそく気が済むまで相手してやる」
「ええ~っ!」(話が違―う!)
 乙女はジタバタ暴れだした。
「違いますぅ!そうじゃない!お祭りは?屋台村は?そうだ花火!花火だけでも見物しましょうよぉ!!」
「諦めろ」
「やだ!!せっかく街着に着替えたのにっ」(ジタジタバタバタ)
「おまえが悪い」
「私はちっとも悪くないッ。……放して!もぉ私ひとりで行くぅぅ~」(待っててベビーカステラ!)
 歯が立つわけもない乙女の抗議は、そのリフレインさえ、実に呆気なく回廊の向こうへ消えてしまう。


 翌朝。
 すっかりヘソを曲げて仏頂面の乙女に、点心だの月餅だの水果だのを山のように勧めて機嫌を取ろうとする、やけに清々しい笑顔の名君が目撃されたそうです。
 めでたしめでた……し?


<そろそろ爆ぜてもいいんじゃないでしょうかby朱衡・了>
良きかな^ ^
user_com.png 文茶 time.png 2021/09/04(Sat) 01:10 No.13
饒筆さま、お久しぶりです!

甘えるように引き留める陽子さんの可愛さにやられました〜! 本当に可愛い。でんぐり返りで50メートルいけるほどカワイイ!
闇にのまれそうな尚隆をよくぞ止めてくれました。是非つっかえ棒からパラシュートに昇格していただきたい。
お祭りに行けなかったのは残念だけど、玄英宮で屋台村を再現してくれるでしょう! 花火師も呼ぶでしょう! 偉大なる延帝ならやってくれる(笑)

ドキドキシリアスからラブラブまで二人の関係がギュッと詰まったお話、楽しませていただきました〜!
いらっしゃいませ!
user_com.png 未生(管理人) time.png 2021/09/04(Sat) 18:47 Home No.14
 饒筆さん、こちらこそご無沙汰しております! 早速祭にご参戦くださりありがとうございます~。
 
 不穏な始まりにドキドキさせられました。けrど、そこはさすが饒筆節! 甘いのにコミカルで店舗のよい会話ににっこりしてしまいました。
 陽子主上は街へ行けなくて残念でしたが、かの方が満足そうなので私的にも大満足でございます!
 素敵な花輪をありがとうございました~。
 
 文茶さん、先レスありがとうございました。
 
 
名言です!
user_com.png ネム time.png 2021/09/05(Sun) 21:29 No.15
 饒筆さん、お久しぶりです!またお祭りでお会いできて、うれしいです~(文茶さんも ^^/)
 惚れた強味… 名言ですね~。陽子が言うから尚更。密かに引き籠り傾向のある王様には、これくらいの一見草食実は肉食系女子が付いていて然るべき、ですね。(むしろ龍虎か?)
 これからも両国で賑やかなお祭りをどんどん開催していって下さいね!(ベビーカステラは必須です ^^)
嬉しいコメントをありがとうございます♪
user_com.png 饒筆 time.png 2021/09/12(Sun) 21:21 Home No.34
>文茶さま
 こちらこそお久しぶりです。久々にお話できてうれしいです~。
 でんぐり返しで50メートルとはなかなかの猛者……首にお気をつけてくださいね!(笑)
 ええ、偉大なる延帝とノリが良すぎる雁国民なら
「いきなりだが、今年の祭りは一週間延長だ!」『うぇ~い!!!』
でやってくれそう……いや、マジでできそうやわ(凄すぎる・あはは)
 楽しんでいただけて私も幸せです♪

>未生さま
 こちらこそ、お祭りを開催してくださってありがとうございます!
 そうですね、なんやかんやで殿は存分にストレス?を発散なさったのでは……
 拗ねる陽子さんのご機嫌をとるのも、まあイチャついているのと変わりませんよね(笑)
 拙い花輪ですが楽しんでいただけて何よりです!

>ネムさま
 こちらこそコメントをありがとうございます。
 名言だなんて照れますね……(きゃ)
 ええ、この二人のイメージとしては龍虎の方が近いですね。どちらも負けないし退かない(笑)。まあ、周囲から見れば、パワフルにじゃれているな~(さすが王様)という感じでしょうか。
 偉大なる延帝の下のお祭りなら、綿菓子もベビーカステラも焼きもろこしもあるって信じています!!(あはは)
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