細 小 波
作 ・ 五緒さま
2010/03/22(Mon) 23:12 No.122
盛りを迎えた花に枝切風が吹き抜けてゆく。
ざぁっと一斉に音を立て枝が揺れ、遅れて花びらが降りだし風の後を追う。
数歩前を歩く陽子がつと立ち止まった。
少し顔を左に向けて流れてゆく花びらを一瞥し、くるりと身を返しこちらを向いた。
この景色を漸く自国内で見れようになりました、と素直に喜ぶお前。俺に向けられたその表情は自信に満ちていた。
逸らすことなく真っ直ぐに向けられるお前の視線。
それを受け止めた俺の中に漣が起った。