「投稿作品集」 「15桜祭」

やっと本業で参加 A^^; 五緒さま

2015/03/26(Thu) 03:19 No.44
 管理人さま、みなさま、お久しぶりです。

 ここのところ作品を拝見するだけに留まっておりましたが、 再び「作品投稿」という形で参加できることに、我ながら嬉しさを隠せません。

 短い話ではありますが、どうか楽しんでいただけますように。

花の訪ないを心待ちに

五緒さま
2015/03/26(Thu) 03:21 No.45
 ――花がほころぼうかとしている頃の桜もいいとは思わないか。

 そう主上が仰ったのは、いつの春だっただろうか。


 堤防の大規模改修が行われている現場へ、お忍びで視察にお越しになられた主上が、開花間近の桜を見ながら私に話しかけてこられた。
突然の声掛けに驚き、はぁ、としか答えられず、なんと不敬なことをしてしまったんだ、と泡を食ってしまったが、そんな私の態度も気にした風もなく、主上は言葉を続けられた。

 ――すべての枝についているつぼみが一斉に開いた状態というのは、まるで明かりが灯ったように見えて、華やいだ気分になるのだけどね。

 ――何年か前に見た桜で、開花寸前も趣があっていいな、と思うようになったんだ。

 そこまで話された主上は、何かを思い出したのか、ふふ、と小さく笑みをこぼされた。

 ――冬の間はつぼみも枝と同じ色で、まるで擬態しているみたいだけど、啓蟄を過ぎてしばらく経つと、枝が赤茶色に染まるんだよ。

 ――私は冬の色と盛りの色しか知らなかったから、開花前にはこんな色をまとうんだ、ってとても驚いたんだ。

 ――そして、この色も当たり前のことだけれど、花が開くまでの僅かな期間しか見れないのだと気づいたら、とても愛おしいものに思えてね。

 ――それからだよ。この時期もなんとか時間をやりくりしたり、何かしら理由をつけてここに来るようになったのは。

 そこまで話された主上は桜のほうへと歩み寄り、優しく幹に手を添え、頭上に広がる枝に幼子の成長を見るかのように眩しげに眺められた。

 
 主上。桜が劇的に変化する時期がまた廻ってまいりました。
ここしばらくお姿を拝見することはかないませんでしたが、今年はお会いできることを願っております。

後書き 五緒さま

2015/03/26(Thu) 03:25 No.46
 通勤で乗り換えのバスを待っている停留所の前には、県立高校があります。 そこには道路側の塀に沿って桜の木が植えてあり、 毎日バスが来るまで何とはなしにそれを眺めています。
 ある日、真ん前の桜の枝全体が赤っぽく見え、あれ? と思いはしたものの、 バスが来たのでその時はあまり深く考えませんでした。 それから数日間、見える範囲の桜の木を意識して眺めていたら、 最初の陽子の台詞が下りてきました。

 長いこと「書く」ことができず、創作用ブログ、 日記用ブログ共に更新が止まったままでした。 最近になって日記用ブログは更新できるようになりましたが、 まだなんだか言葉の使い方がおかしいく感じられ、 書きたいことをまとめるのにとても時間を要します。
 この話も誤った言葉使い等をしてやいないかが心配です。
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背景画像「花うさぎ」さま
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